2012年4月8日日曜日

十進法と二進法の発明

十進法ってのは、人間の指が十本あったから思いつかれたものらしい。という説明を聞いてなるほど、というよりかは、本当か?と思った。

だったら、十二進法とかはどうやって思いつかれたというのか? 

と思っていたら、次のような説明を見て、腑に落ちた。

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十進法を世界で最初に考え出し、その使用を提唱したのはベルギーの商人シモン・ステヴィン(1548~1620年)です。

ステヴィンは、当代きっての軍事的天才、オラ二エ公ナッサウのマウリッツ(1567~1625年)のお抱え教師で『築城術』(1594年)を著わしたり、コペルニクスを(ガリレオに先んじて)支持する立場の本を著わした(1608年)ほか、遠近法の論文、力学の手引書、航海術の教科書、経緯測定法の教科書、船の位置を常に把握するための斜航線操舵法の改良案、さらに、『平均律』音階を利用した音楽調律理論の本、力の平行四辺形に関する独自の理論を応用した機械仕掛けの焼肉用鉄串の設計図を作ったり、等々天才と呼ぶに相応しい人だったのです。

1785年にジェームズ・マディスンは『それぞれが、違う言語で話すという不便さに次ぐものは、便宜から作られた異なる度量衡を使う不便さだ』と述べていることからも分かるように、科学者が、お互いの実験を確かめるのに役立つ国際語としての数学用語には、数を最小単位に分割し、それを表す簡単な方法が昔から必要とされていました。

ステヴィンの発明はあまりにも単純で、そんな発明が必要だったとは信じがたいほどのものだったのです。プランタンがライデンで出版した36ページの小冊子『十分の一』(1585年)の中でステヴィンは、十進法を提唱しています。1608年に出た英語版で『十進(デシマル)』という言葉が初めて英語に導入されました。

それまでの分数の取り扱いは厄介だったのです。ステヴィンの解決法は、分数の単位を全部整数として扱うというものでした。例えば、4と100分の29という数字があるとします。これを簡単に100分の1という数字が429個あるものとすると考えてはどうかとステヴィンは言ったのです。与えられた数字を一度その最小単位に還元して、整数も分数も、その単位の倍数として扱う。実験するものは、今や、全ての数をまとめて処理できるようになりました。

日常生活の面では、商人と客のもめごとや、銀行家と借り手の問題をいかに簡単なものにするかをステヴィンは示しました。ステヴィンは『小数』を用いることが、測量にも、布地や葡萄樽を計るときにも、天文学者や貨幣鋳造者の仕事にも利点となることを示しました。そして、兵士を10人、100人、1000人といった単位にわけることの利を説きました。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1486284.html
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ここで書かれていることは、十進法の確立、というよりは「小数における十進法の導入」の問題である。そして、小数において十進法が導入されたのはヨーロッパが最初ではなく、むしろ遅れていた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%95%B0

ただステヴィンの解決法は、小数の位に桁の名前を必要としないものなので、これで一気に西洋数学は中国圏より先に進むことになった・・・んだと思う。きっと。


なにかを数えるときに、場合場合により十進法だったり十二進法だったり二十進法だったり、というのは、とくに人間の指とか関節が起源でなくてもありえることだと思う。
http://www2m.biglobe.ne.jp/%257Em-souda/mysouda/math/smith/chapter1/math21.htm
問題は、それを数える原理として徹底できるか、というところにある。そういう意味では、やはりステヴィンの解決法は画期的だったわけだ。これが17世紀初頭。


英語でBinaryという二進法の発想は、やはり 17世紀初頭にF・ベーコンによって提唱されている。

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1605年、フランシス・ベーコンはアルファベットの文字を二進数字の並びで表す体系を論じ、任意の無作為なテキストで微かに判別可能なフォントの変化に符号化できるとした。二進符号化の一般理論として彼が指摘した重要な点は、同じ方法をあらゆる物に適用できるという点であり、「2種類の異なる状態をそれらの物で表現できればよく、鐘、トランペット、光、松明、マスケット銃など同様の性質があればどんなものでもよい」とした。これをベーコンの暗号と呼ぶ。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%80%B2%E6%B3%95
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『学問の進歩』か・・・。この考え方は、面白いし、現代的だ。Dictionary of the History of Ideasで昔読んだことがあるけれど、古代から数字が万物に割りふられている、という考えがあったらしい。
http://xtf.lib.virginia.edu/xtf/view?docId=DicHist/uvaBook/tei/DicHist3.xml;chunk.id=dv3-50;toc.depth=1;toc.id=dv3-50;brand=default

でもベーコンのこの考えは、もの自体に数が割り振られているのではなくて、ものの状態、つまり、ONであるかOFFであるか、とかに1と2の数字が割りふられうる、というもの。これはとっても近代的な考え方だ。

ライプニッツが二進法を考えたのは、こういう思想的流れのなかにある。

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数学的に二進法を確立したのは17世紀のゴットフリート・ライプニッツで、"Explication de l'Arithmétique Binaire" という論文も発表している。ライプニッツは現代の二進法と同じく、1 と 0 を使って二進法を表した。ライプニッツはシノファイル(親中家)でもあり、後に「易経」を知って、その六十四卦に 0 から 11111 までの二進数を対応させ、彼の賞賛してきた中国の哲学的数学の偉大な成果の証拠だとした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%80%B2%E6%B3%95
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ライプニッツによる二進法の確立と、ベーコンによるその応用方(応用法が先に考えられた)を合わせれば、コンピューターが生まれる。電子計算機は、信号のオンとオフとの状態を、二進法に翻訳することによって生まれた。

数を数える、という行為は、単純だが、とても奥が深い。

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